ソウル中央市場は、東大門エリアの新堂駅すぐ近くにある庶民的な在来市場です。昔ながらの屋台や食堂が立ち並び、観光客にはまだ知られていない隠れた美食スポットとして注目されています。新鮮な食材が豊富に並ぶ市場では、ピリ辛のチョッパル(豚足)や香ばしいホットクなど、ソウルならではの名物グルメをリーズナブルに味わえるのが魅力です。
ソウル市の観光案内によれば、戦後から続く伝統ある市場で、当時の雰囲気が残る路地裏の風景が今なお人気を集めています。本場ソウルらしい庶民の味を思う存分楽しめるスポットでもあり、地元グルメを満喫する旅の出発点にもぴったりです。
目次
ソウル中央市場で味わうグルメ体験
路地裏に広がるソウル中央市場は、1970年代から続く伝統的な雰囲気が色濃く残るエリアです。青果や魚介、日用雑貨などの店がひしめく通りを歩けば、威勢のいい掛け声といっしょにさまざまな食材の匂いが漂ってきます。石畳の路上には屋台が並び、昔ながらの調理法で料理をふるまうおばあさんたちの姿も目にします。地下鉄新堂駅から直結でアクセスでき、雨の日でも安心なアーケードで覆われた通路は、まさに食べ歩き天国です。
伝統市場の温かい雰囲気
客層は地元の主婦や年配者が中心。観光客の姿は少ないぶん、まるで昔の街にタイムスリップしたかのような懐かしい人情味を感じられます。店主たちの掛け声やお客同士の会話がにぎやかで、活気あふれる市場の空気に思わず巻き込まれてしまいます。市場中央には共用テーブルが置かれており、買い物帰りの人たちが腰を下ろしてその場で食事する光景も日常的です。
昼時になると食堂には定食を求める人たちが集まり、屋台周辺のベンチはにぎやか。一日の疲れを癒すスンデクッパやユッケジャンの店には行列ができることもあります。こうして地元の人々の生活の息吹を間近に感じながら、市場ならではのグルメを思う存分味わうことができます。
市場内のグルメスポットと屋台
市場のメイン通りには屋台や小さな食堂が並び、とくにカルグクスやクッパの専門店が目立ちます。アーケード下の屋台通りには、甘い蜜入りのチャプサルホットクを売る屋台や、大きな鍋でスープを煮込むチゲ屋台、串焼きドッグ屋などが軒を連ねています。店先に置かれたテーブルで、おかずやキムチをつまみながら鍋のスープをすすれば、それだけで地元の韓国人になった気分です。
中央市場では、その場で作りたてを食べられる屋台フードが豊富。一品一品を少しずつ味わい、食べ歩きを楽しむことが醍醐味です。行列ができる人気店や、おばあさんが焼く昭和レトロなホットク屋もあり、定番メニューと隠れた逸品、両方を探してみるとおもしろいでしょう。
ソウル中央市場の魅力と歴史

ソウル中央市場は1962年に現在の名でオープンしましたが、その源流は朝鮮戦争直後に誕生した「新堂市場」にさかのぼります。当時から農産物や生活必需品が扱われる主要市場のひとつで、現在では約600店舗が軒を連ねる巨大市場です。2004年には市場大通りにアーケードが整備され、従来の雰囲気を残しつつも利用しやすい空間に生まれ変わりました。
誕生から続く歴史
中央市場の歴史は朝鮮戦争の混乱期に端を発します。新堂(シンダン)に立ち上がった「新堂市場」が前身で、1962年に「ソウル中央市場」と改名して現在に至ります。ソウル市の観光公式サイトでも、戦後まもなく多くの取引が行われた市場として紹介されており、当時のにぎわいを今に伝えています。長い歴史の中で培われた味と雰囲気は、訪れる人に昔の韓国の活気を感じさせてくれるでしょう。
市場のアーケードと再開発
2004年のリニューアルで市場中心部には全天候型のアーケードが設置されました。これにより雨の日や暑い夏も快適に散策できるようになり、地元客の利用率がさらにアップ。アーケード外側には多層階の地下商店街が広がり、陶器やキッチン用品、家具を扱う店も数多く出店しています。近年では市場周辺にアートギャラリーやモダンな飲食店がオープンするなど、新旧が融合した街づくりが進んでいます。
東大門エリアの穴場
大規模なアパレルビルやファッション市場が集まる東大門エリアにあって、中央市場は意外にも人ごみの少ない穴場です。地元密着の在来市場なので日本語案内はほとんどありませんが、そのぶんオリジナルのおいしさを求める旅行者にとっては魅力的。近年は韓国の人気歌手ソン・シギョン氏などが訪れたこともあり注目度が高まっていますが、まだまだ市場内には昔ながらの活気と隠れたグルメが息づいています。
ソウル中央市場の名物グルメ
ソウル中央市場には、この地ならではの変わり種グルメや郷土料理が数多くあります。一部で流行しているB級グルメから、昔ながらの家庭料理まで、ここでしか味わえないおいしさが揃っています。
チャプサルホットクなどの屋台スイーツ
市場の屋台で人気ナンバーワンなのは、もち米粉で作った「チャプサルホットク」です。特に寒い時期は、おばあさんが屋台で焼くあつあつのホットクが人気で、中には黒蜜やナッツが入っています。表面はカリカリ、中はモチモチで、やみつきになる甘さです。
韓国伝統料理:麦飯とビビンバ
意外な名物として、麦飯を使った郷土料理も見逃せません。香ばしく炊いた麦米の上に肉をのせ、野菜で包んで食べる「コギサンパッ」はヘルシーでボリューム満点。他にも定番のビビンバや石焼ビビンバ、栄養満点のキムチチゲなど、食堂では韓国家庭料理の定番メニューが味わえます。
コプチャン(牛ホルモン焼き)
市場裏手の通りには、ホルモン専門店が何軒も集まるエリアがあります。「往十里(ワンシムニ)コプチャン」と呼ばれるここでは、牛のホルモンを甘辛いタレで焼いた料理が名物です。コプチャンはプリプリの食感がクセになる一品で、ビールやマッコリとよく合います。疲れた体に染みる味わいで、ローカル客にも大人気です。
その他の定番グルメ
そのほか、市場では韓国屋台定番の料理が並びます。手打ち麺のスープ「カルグクス」、冷たい豆乳麺の「コングクス」、甘辛い餅入りスープの「トッポッキ」など、どれも少額で満足できるメニューです。おかずはセルフで取れることが多く、キムチや漬物を好きなだけ楽しめるのも魅力です。
地元民おすすめ!ソウル中央市場の隠れ家グルメ店
中央市場には、観光客向け情報にはあまり載っていないディープな店が点在しています。ここでは地元韓国人がおすすめする隠れ家的なお店や珍しいメニューをご紹介します。
薪火で焼き上げる鶏の丸焼き「鶏流館(계류관)」
市場の小道にある「鶏流館(ケリュグァン)」は、その名の通り薪火で丸鶏を焼く店です。炭火でじっくりローストされた鶏は皮が香ばしく、身はふっくらジューシー。鶏の中にはもち米やにんにく、銀杏が詰められており、味噌や塩で味わうと素材のうまみが引き立ちます。辛いユッケジャンスープとの組み合わせも相性抜群で、一度食べるとやみつきになります。
昔ながらの韓国家庭料理店
複数ある中央市場の食堂には、創業何十年という老舗が並びます。例えばクッパやビビンバ、チゲメニューを提供する食堂では、おばあちゃんの手作り家庭料理が手頃な価格で楽しめます。隣の席のおじさんが定食を注文しているのを見て指さし注文するのも、旅の醍醐味と言えるでしょう。これらの店はローカルテレビでも紹介されたことがあり、安定した旨さで安心して利用できます。
市場の屋台で味わうB級グルメ
庶民的な味を楽しみたいなら、屋台のB級グルメをチェック。「玉ねぎのカリカリパンケーキ」や「マンドゥ(餃子)の揚げ物」、「おでん串」などがその一例です。市場では特に揚げ餃子や緑豆チヂミが人気で、甘辛いソースをかけて豪快にいただきます。韓国式のスナック文化を気軽に楽しめる屋台めぐりは、珍しい韓国食体験になります。
甘味処・カフェで一息
食べ歩きの合間には甘味やコーヒーで一休みしましょう。市場周辺には懐かしいレトロなカフェや屋台スイーツ店があり、もち米で作ったドーナツ「チャプサルクァベギ」やトーストサンド、伝統菓子などが味わえます。伝統茶やコーヒーを提供する落ち着いた雰囲気の店もあるので、一旦腰を落ち着けて休憩するのもおすすめです。
ソウル中央市場グルメを楽しむポイント
物価がリーズナブルで懐にも優しい中央市場ですが、より快適に楽しむためのポイントもあります。ここでご紹介するアドバイスを参考に、買い物も飲食も充実した時間を過ごしてください。
市場めぐりのベストタイミング
中央市場は早朝から営業していますが、グルメを目当てに行くなら午前中からお昼にかけての時間帯がベストです。朝食や昼食時には食堂や屋台が活気づき、準備された料理が一通り並びます。夕方以降は仕事帰りの人でにぎわいますが、人気屋台の多くは夕方に一時閉店することがあるので注意しましょう。夜遅くまで賑わうのはむしろ東大門市場や南大門市場で、中央市場自体は夜11時頃にはほとんど閉店します。
言葉の壁を越える注文術
中央市場の屋台や食堂には日本語メニューはほとんどありません。しかし心配無用です。多くの店では写真付きメニューはなくても、店頭に写真サンプルを置いていることがありますし、指差し注文で要望を伝えられます。基本的には現金払いなので、値段を事前に調べておけばスムーズに注文できます。スマホの翻訳アプリを準備しておくと、注文時の不安が軽減されます。
予算と支払い方法
市場のグルメは非常にリーズナブルで、屋台の軽食なら3,000~5,000ウォン程度、本格的な定食でも1万ウォン前後で満腹になります。ただし両替は市場周辺で早めに済ませましょう。多くの屋台はクレジットカード不可でウォン現金のみの店がほとんどです。小額紙幣と硬貨を用意しておけば安心。市場付近の両替所や銀行で事前の両替がおすすめです。
【ポイント】屋台では1,000~5,000ウォン硬貨が役立ちます。少額紙幣を崩しやすいよう、10000ウォン紙幣は2~3枚用意しておきましょう。
混雑を避けるコツ
中央市場は地元客に人気が高いため、昼前後や夕方は混雑しがちです。平日の午前中や早めのお昼時に訪れると比較的すいています。土日や連休中は観光客も増えるので可能なら平日がおすすめです。人気店の行列を見つけたら、ほかの店で軽く済ませてから後ほど改めて並ぶのも一つの手です。
アクセス・利用ガイド
初めての方に役立つアクセス情報や周辺環境も押さえておきましょう。地下鉄やバスの乗り継ぎ、営業時間などを知っておくと旅の計画がスムーズです。
アクセスと最寄り駅
ソウル中央市場は市内中心部ではありませんが、交通の便は良好です。地下鉄2号線・6号線の新堂(シンダン)駅2番出口を出てすぐ、市場入口のアーケードが見えます。スマートフォンの地図アプリで「ソウル中央市場」と検索すれば、大きなアーケード看板の位置がすぐわかります。東大門からはタクシーで10分程度、清渓川(チョンゲチョン)からもアクセスが容易です。
【ヒント】出口1より出口2のほうが近いです。2番出口からは屋台が並ぶメイン通りが見えます。
市場の営業時間と休業日
主要店舗はほぼ24時間営業ですが、市場全体としては早朝から深夜まで営業しています。市場側の店舗は午前2~3時から午後10~11時頃まで、地下商店街は朝8~9時から深夜1時頃までが目安です。ただし旧正月・秋夕の連休や毎月第3日曜日は休業する店が多いため、旅行日程は要確認です。
持ち物や服装のポイント
広大な市場を歩くので、動きやすい服装と靴で臨みましょう。夏場は蒸し暑いので水分補給を忘れずに、冬場は路面が冷えるので防寒着が必要です。香水や強い香りは狭い通路では周囲に迷惑になるので控えめに。キャリーバッグなど大きな荷物は邪魔になるため、コンパクトなリュックや斜め掛けバッグが便利です。
近隣エリアの観光スポット
中央市場から足を伸ばせば、歴史ある東廟(トンミョ)や衣料品・骨董の街として有名な黄鶴洞(ファンハクドン)があります。東廟通りには昔ながらの露天が現役で営業し、夜には骨董品市場が開かれることもあります。また徒歩圏内には東大門市場や広蔵市場といった大型市場もあるので、グルメと観光を半日~1日でまとめて楽しむことができます。
まとめ
ソウル中央市場は観光客にはまだ穴場のグルメスポットで、昔ながらの屋台や食堂でしか味わえない多彩な韓国料理が揃っています。リーズナブルな価格でB級グルメや郷土料理を楽しめるだけでなく、市場独特の温かい雰囲気そのものが旅のいい思い出になります。
- 新堂駅すぐのアクセス良好な市場。チャプサルホットクや牛ホルモン焼きなど老舗の名物グルメが充実。
- 屋台や食堂は午前中~昼過ぎにピーク。少額のウォン現金を用意して、1品数千~1万ウォンでしっかり満足。
- 行列ができる人気店も多いので、混雑を避けるなら平日の午前中や遅めの昼食がおすすめ。
- 周辺には東廟や東大門市場など観光スポットも点在し、食べ歩きと散策を一緒に楽しめる。
以上が2025年最新情報をもとにしたソウル中央市場隠れ家グルメガイドです。地元民に愛される味を探しに、ぜひ一度市場へ足を運んでみてください。