韓国旅行で「支払いは現金にしようか、それともカードにしようか?」と迷う方は多いでしょう。韓国はキャッシュレス化が非常に進んでおり、クレジットカードや電子マネーが主流になっています。しかし屋台や小さな商店など、現金しか使えない場面も依然あります。
本記事では最新の情報をもとに、韓国旅行における現金とカードのメリット・デメリットを解説します。
現地でどちらを主体にすべきか、詳しく見ていきましょう。
目次
韓国旅行で現金とカード、どっちがお得?
結論から述べると、韓国ではカード主体の支払いがお得なケースが多くあります。韓国はキャッシュレス社会が進んでおり、主要な店舗やサービスでクレジットカードや交通系電子マネーが使えます。カードで支払えばポイントやマイルが貯まり、海外旅行保険の適用など安全面でもメリットがあります。
一方で、小規模店や屋台では現金しか使えない場合があり、少額決済で便利なのも事実です。
以下では韓国のキャッシュレス事情と、旅行者が検討すべき支払い方法のポイントを解説します。
韓国のキャッシュレス事情
韓国は世界でもトップクラスにキャッシュレス化が進んだ国です。政府統計によれば、2021年時点で国内のキャッシュレス比率は約95%に達しており、大都市ほど現金よりもデジタル決済が主流になっています。ソウル・釜山を中心に、チェーンのレストランやカフェ、コンビニ、ドラッグストア、デパート、自動販売機の多くはクレジットカードやスマホ決済(Apple Pay、Samsung Payなど)、交通系電子マネー(T-moneyなど)に対応しています。
こうした背景から、韓国では現金だけでは対応が難しいシーンも増えています。例えば一部の高級レストランやホテルでは現金では予約や支払いができず、カード入力が必須になるケースが増えています。また、観光都市の繁華街では「現金不可」と表示している店舗もあるほどです。
ただし、屋台や地方のローカル飲食店などではまだ現金が主流なので、適宜現金も用意しておく必要があります。
旅行者にとっての支払い選択
旅行者にとって現金とカードの選択では、手数料や安全性を考慮するのがポイントです。クレジットカードを利用すると海外利用手数料(為替手数料)が発生しますが、一方で両替する場合も両替手数料や悪いレートによる損失が生じます。2024年以降、多くの日本のクレジットカードで海外取引手数料が2%以上に引き上げられています。これはカード利用額の約2~3%が支払い額に上乗せされることを意味します。
現金の場合、両替時に銀行や両替所のレートに手数料が加わります。最近は両替手数料が ~10%近くになるケースもあるため、少額の両替手数料がカード手数料とほぼ同等になることもあります。旅行者は両方の費用を比較しつつ、安全性や利便性を考えて使い分けるのがおすすめです。
韓国で現金払いがおすすめのシーン
韓国でも現金払いがおすすめな場面があります。現金は小額でほんの少し支払いを済ませる際や、カード端末がない場所で重宝します。
屋台や市場では現金が主流
ソウルの「広蔵市場」や「南大門市場」、釜山の「チャガルチ市場」などのローカル市場では、現地の人が日常的に現金で買い物をしています。市場内の屋台や小さな食堂ではクレジットカード端末が設置されていない店も多いため、少額決済では現金が必須です。
例えばキンパやホットクなど屋台グルメは1,000~5,000ウォン程度と少額なので、現金でスムーズに支払った方が便利です。屋台めぐりや市場散策では1~2万円程度の現金を持ち歩くと安心です。
地方の小規模店やイベントでも現金
地方都市や郊外に足を延ばす場合、カード決済が利用しづらくなることがあります。韓国の地方都市では交通機関自体が現金非対応であったり、地方のローカルバスがT-money非対応だったりする場合があります。
また、各種イベントやフリーマーケットにもカード端末がない出店者が多いです。地方やイベントでは現地の個人経営店に立ち寄る機会が増えるため、少し多めの現金を用意しておくと安心です。
少額決済では現金が便利
韓国では1ウォンや5ウォンの硬貨はほぼ流通していませんが、10ウォンや50ウォン、中小の硬貨(10円単位で言えば「1円・5円」相当)は存在します。しかし物価上昇とキャッシュレス進展のため、お店では切り上げての支払いになるケースが大半で、少額の硬貨が戻ってくることはほとんどありません。逆に日本円で数百円に相当する100ウォン硬貨などは支払いに使える場所は限定的です。
とはいえ1,000ウォン(約100円)の少額決済では、クレジットカード決済ができない屋台が依然として多いので、こうした場面ではやはり現金払いが便利です。なお現金派の場合は小銭を大量にもっていても使い道がないため、買い物ごとに財布から余計な硬貨を出さないよう注意しましょう。
韓国でカード払いがおすすめのシーン
逆に、クレジットカードやデビットカードで支払うと便利な場面も数多くあります。韓国ではカード決済が当たり前の場所が非常に多いです。
チェーン店やデパートではカードが便利
Cafeやファストフード、大型スーパー、デパート、家電量販店などのチェーン店舗では、現金よりクレジットカード払いが標準になっています。コンビニやファミリーマート、GS25、CUなどでは小銭の受け渡しすらできず、クレジットカードや電子マネー専用という場合もあります。韓国の街中ではクレカ拒否ということは珍しく、多くの店舗で一万円以上の大きな買い物でもカードが利用できます。
またモールやブランドショップ、ホテルの予約では事前にクレジットカード情報の登録が必要なケースが一般的です。チェックイン時のデポジットとしてカード提示を求められることもあるため、現金しか持っていないと予約できなかったり多額の預け金を請求されたりする可能性があります。ビギナーは必ず1枚以上、海外で使えるクレジットカードを用意しましょう。
ホテルやレンタカーではカードが必須
韓国では宿泊予約やレンタカー利用の際にクレジットカードでの保証が求められることが多いです。ホテルでは巨大な現金保証が必要になる場合もあり、現金派だけでは予約すらできないことがあります。ゲストハウスや民泊など現金対応の宿もゼロではありませんが、選択肢が限定され旅の自由度が下がってしまいます。
レンタカーの場合、現地での車両引き渡しでも保証金としてカードを一時的に預けるため、現金のみでは契約できない場合があります。海外旅行保険が付帯するクレジットカードを利用すれば、旅行中のトラブルにも備えられて安心です。
ポイント還元と旅行保険の利点
クレジットカードを使う最大のメリットの一つが、ポイントやマイルが貯まりやすいことです。韓国で買い物をすると、日本のカードでも自国のポイントが溜まります。貯めたポイントは次の旅行や日常の買い物で現金同様に使えるため、長期的には大きな節約につながります。
また多くの旅行向けクレジットカードは海外旅行傷害保険が付帯しています。これにより、現金で支払うよりも万が一の事故や病気の際に補償が受けられ、旅行時の安心感が高まります。こうした保険・サービス面の優位性もカード払いの大きなメリットです。
韓国旅行の両替・ATM事情
旅行前に準備する現金の量や両替タイミングも重要です。韓国ウォンを入手する方法は主に現地両替とATMキャッシングがあります。
両替所の選び方とレート比較
日本国内でウォンに両替するより、韓国現地の両替所の方が有利なレートになることが一般的です。空港の銀行両替所はレートが高めなので、ソウルや釜山市内の銀行両替所や両替専門店での交換がおすすめです。しかし旅の初日に現金が必要になるため、渡航前に少額(例:1〜2万円分)を空港で両替しておき、残りは現地で調達するのが賢明でしょう。
なお、手数料無料の両替店を掲げる店舗でも、見えないレート操作が行われる場合もあるので注意が必要です。できるだけ公式銀行を利用し、レート比較サイトなどで当日の最良レートを確認してから両替すると無駄が減ります。
ATMキャッシングで現地通貨を引き出す
クレジットカードの海外キャッシングを使えば、韓国到着後に現地通貨を引き出せます。コンビニのATM(例:セブンイレブン、GS25)や空港・駅設置のATMは日本語表示に対応しており操作が簡単です。ただし、キャッシングには利息と手数料(ATM利用料)がかかる点に注意しましょう。
例えば1万ウォンを引き出すと、利息や現地ATM手数料を含め約300円余計にかかる場合もあります。実際には複数万ウォン単位で引き出すことが多いので、ATM利用料105円〜210円(引出額により変動)の負担も発生します。引き出し回数を減らすため、空港などで一度に必要額をまとめて下ろすか、到着後は両替とATMをうまく併用しましょう。
硬貨の扱い方と注意点
韓国では物価上昇とキャッシュレス化により、1ウォン・5ウォン硬貨は流通していません。日本でいう1円・5円玉に当たる10ウォン・50ウォン硬貨はあるものの、お店では使わずに切り捨てられることが多いです。そのため外国人が少額決済で得た硬貨は使い道がなく、財布に小銭がたまりがちになります。
旅行の終わりには100ウォン以下の小銭が沢山余っているケースが多いですが、これを使い切る場面はほぼないため、出国前に余ったウォンを円に再両替するか、日本への持ち帰りは避けるのが無難です。一方、T-moneyはデポジット返金が可能なので、小銭をはじめ現金を使い切る手段として活用できます。
韓国旅行で便利なキャッシュレス決済
韓国にはクレジットカード以外にも、便利な電子マネーやスマホ決済があります。特に交通系電子マネーであるT-moneyが広く普及しています。
交通系電子マネー(T-moneyなど)の利用
T-money(ティーマネー)はSuica/PASMOのような前払い式のICカードで、地下鉄・バス・タクシー・コンビニ・一部店舗で利用できます。空港や駅、コンビニでカードを購入し、チャージすればすぐに使い始められます。交通料金や少額の支払いでスマホを見る手間なくタッチ決済できるため、小銭がかさばらず非常に便利です。
登山鉄道や空港鉄道もT-money対応機器が増えており、電車に乗る際にいちいち切符を買う必要がありません。返金時に手数料(約500ウォン)がかかる場合がありますが、余った残高はカード返却機で日本円に再両替できます(多くの両替所でも可能)。
スマホ決済・電子マネーの状況
Naver PayやKakao Payなど韓国独自のスマホ決済も増えています。これらは主に韓国で発行された銀行口座やカードと連携する仕組みで、外国人が気軽に使うには少しハードルが高いものもあります。ただし、Apple PayやSamsung Payに登録したカードであれば、コンタクトレス決済端末対応店舗で使用できる場合があります。なお、PayPayやLINE Payなどの日本発電子マネーは韓国ではほとんど使えません。
外国人旅行者にとって最も手軽なスマホ決済は、Visa/Mastercardなど国際ブランドのカードをスマホに登録し、Apple Pay/Samsung Payで支払う方法です。普及率はまだ限定的ですが、銀行によるNFC決済も今後増えていく見込みです。
プリペイドカードや割引活用
韓国ではデビットカードやプリペイドカード(チャージ式のVisaプリペイドなど)も利用できます。Visaプリペイドはクレジットカードと違い審査不要で利用でき、ATMで残高以上の引き出しができないという口座管理感覚で使えるので、予算管理に向いています。カード会社によっては旅行者向けに外貨手数料が割安な商品を提供していることもあります。
また、旅行中はモノレールや空港鉄道の割引パッケージ、観光地のクーポンなど、お得なキャンペーンが随時開催されています。クレジットカードや電子マネーで支払う際にクーポンを紐付ければ、さらに安く支払いが可能です。
現金とカード、それぞれの費用・手数料比較
最後に、現金払いとカード払いのコストを比較してみましょう。
両替手数料と為替レート
現金の場合、両替所によってレートや手数料に大きな差が出ます。空港の銀行両替は便利ですがレートが悪く、街中の民間両替所と比べて数%損をすることもあります。韓国内の両替所でも、レート表示の数値と実際に受け取るウォンには差が出る場合があるため、レート表示をよく確認して納得した上で両替することがポイントです。
また、往路で使い切れなかったウォンは再両替で損が発生しやすい「往復レート」を覚悟しましょう。特に1ウォン硬貨や5ウォン硬貨は帰国前に使い切れないため、これらの硬貨は両替せずに残しておくか、海外旅行傷害保険の積立金などに充てるのが無難です。
カード利用時の手数料とコスト
カード払いでは、前述のように海外事務手数料(為替手数料)がかかります。カード会社によって手数料率は異なり、2024年以降は多くの一般カードで約2~3%に設定されています。高額商品を購入するとそれだけ海外手数料が積み重なるため、可能な限りカードブランドや手数料無料のカードを選ぶのが賢明です。
とはいえ、カードにはポイントバックや付帯保険があるため実質的なコスト差が埋まることがあります。たとえば5万円の買い物で1.6%還元のカードなら800円相当のポイントが戻り、手数料の一部が相殺されます。また、海外ATMでウォンを引き出す際にはATM手数料(1万円以上で約210円など)やATM機の使用料(約3~4%)が別途かかる点にも留意が必要です。
現金とカードの比較まとめ
以下の表に、一般的な支払い手段の特徴とコスト比較をまとめました。
決済手段 | 手数料 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
現金(両替) | 両替所のレートと手数料(実質10%前後の場合も) | 少額支払いが簡単。ATM手数料なし。盗難時の損失最小。 | 携帯・管理が面倒。大量の現金は盗難リスク。小銭が余りやすい。 |
クレジットカード | 海外利用手数料2~3%、ATM引出で別途数% | ポイント還元や保険付き。ほとんどの店で使える。高額支払いに便利。 | カード手数料が割高。暗証番号入力や国際ブランド依存。タッチ無し店で使えない場面も。 |
T-money / 交通系 | チャージはクレカ可能。払い戻し(返金)で微少手数料 | 交通やコンビニで素早く決済可能。小銭不用。残高返金可。 | 交通機関以外の支払いには使えない。現金チャージする場合は両替必要。 |
表からわかるように、キャッシュレス(カード/T-money)は利便性が高い反面、手数料が発生します。現金は追加手数料がないものの、持ち歩きや両替の面倒さがあります。旅行者には両者を組み合わせて使うのが最適です。
まとめ
2025年現在、韓国はクレジットカードや電子マネーが主流のキャッシュレス社会です。ショッピングや宿泊予約など大半のシーンではカード払いがお得で便利ですが、屋台や地方の小さな店では現金が必須となる場合がある点に注意しましょう。現地通貨は日本で両替するより韓国国内で調達したほうがレートが良いことが多いため、到着後に必要な分だけ両替またはATMで引き出す方法がおすすめです。
結局、「現金とカード、どっちを多く使うか」は旅のスタイル次第です。ポイントや安全性を重視するならカード、少額支払いを重視するなら現金という使い分けが快適な韓国旅行のコツです。