韓国では同じ苗字だと結婚できない?禁じられていた理由と現代の法律事情を解説

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韓国

韓国ドラマを見ていて、同じ苗字のカップルがあまり登場しないと感じたことはないでしょうか。韓国にはもともと、同じ苗字同士の結婚を制限する独自の婚姻風習と法律が存在していました。現在は法律が改正されていますが、文化的な名残や家族の価値観として、今も影響が残っています。
本記事では、韓国で同じ苗字だと本当に結婚できないのか、歴史的な背景から現代の法律、実際のカップルの事情までを専門的かつ分かりやすく解説します。韓国の婚姻制度や家族観をより深く理解したい方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

目次

韓国 同じ 苗字 結婚 できないのは本当?基本知識と結論

まず最初に押さえておきたいのは、現在の韓国で「同じ苗字だから」という理由だけで法律上結婚できないことはない、という点です。かつては同姓同本貫婚姻禁止制度という仕組みにより、同じ苗字かつ同じ本貫を持つ男女は結婚できませんでしたが、この制度は2000年代初頭に廃止されています。
ただし、制度がなくなった今でも、家庭や地域の価値観として同じ苗字同士の結婚を避ける傾向が残っているのも事実です。法律上は可能でも、親世代からの反対や周囲の視線を考慮して結婚をためらうカップルも存在します。そのため、「結婚できない」という表現が現在では「法律的にはできるが、文化的・感情的なハードルがある」という意味で使われることも多いのです。

この記事では、同姓同本貫の歴史、法律改正の経緯、そして現代韓国社会で同じ苗字同士の結婚がどのように受け止められているのかを、段階的に整理していきます。日本とは姓の成り立ちも婚姻観も異なるため、日本の常識だけで判断すると誤解しやすいテーマです。まずは「今は法律的には可能である」という前提をしっかり理解しておきましょう。

結論から言うと「現在は法律上結婚できる」

現在の韓国の民法では、近親婚の禁止は規定されているものの、「同じ苗字であること」自体は結婚の障害とはされていません。かつての民法では、同じ苗字かつ同じ本貫を持つ者同士の婚姻が禁止されていましたが、この規定は違憲判断を経て削除されています。したがって、同じ苗字同士の男女が婚姻届を提出しても、法律上は受理されるのが原則です。
ただし、韓国では戸籍制度に相当する家族関係登録制度が整備されており、血族関係にあたる近親者同士の婚姻は禁止されています。つまり、「同姓だからダメ」ではなく、「血縁が近すぎるからダメ」という、国際的にも一般的なルールに一本化されたと考えると理解しやすいでしょう。

この法律改正により、ソン氏同士やキム氏同士といった、これまで形式的に結婚できなかったカップルも、法的な障害なく婚姻関係を結べるようになりました。現場レベルでも、役所で同姓同本貫だからという理由で婚姻届が拒否されることはありません。したがって、「韓国では同じ苗字だと絶対に結婚できない」という情報は、すでに過去のものと理解して問題ありません。

なぜ今でも「結婚できない」というイメージが残るのか

それでも、インターネット上では「韓国では同じ苗字同士は結婚できない」といった表現がいまだに多く見られます。この背景には、長年にわたって続いてきた同姓同本貫婚姻禁止制度の影響と、家族や地域社会の価値観が根強く残っている現実があります。法律が改正されても、人々の意識や慣習が一夜にして変わるわけではないからです。
特に高齢世代の中には、同じ苗字同士の結婚に対して本能的な違和感や抵抗感を抱く人も少なくありません。親戚や近隣の目を気にして、あえて別の結婚相手を探すという選択をする人もいます。このような社会的・心理的な圧力が、「結婚できない」という言い回しとして、誇張されて語られている面もあります。

また、韓国ドラマや映画の中でも、同姓同本貫の恋愛が「禁断の恋」として描かれることがあり、そのイメージが日本の視聴者にも伝わっています。こうしたメディア上の表現も、「法律上の禁止」と「文化的・心理的ハードル」の線引きを曖昧にしている要因と言えるでしょう。

日本の感覚との違いを整理しておく

日本では、結婚すると夫婦どちらかの姓を名乗る仕組みであり、同じ苗字同士の結婚について特別な制限は存在しません。一方、韓国では伝統的に、男女ともに結婚後も生まれた時の姓を変えず、一生名乗るのが基本です。子どもは父親の姓を継ぐのが一般的な形ですが、夫婦は別姓のままという点が日本とは大きく異なります。
このように、「そもそも夫婦別姓が前提」であるため、同じ苗字同士の結婚には、「遠い血族である可能性が高い」という歴史的な前提が結びつきやすかったのです。日本では同姓同士の結婚は「偶然の一致」であることが多いのに対し、韓国では姓と本貫が家系を示す重要な情報であったため、そこにより強い意味づけがありました。この前提の違いを理解しておくと、韓国独自の婚姻ルールの成り立ちが把握しやすくなります。

韓国の「同姓同本貫」制度とは?苗字と本貫の基礎知識

韓国の同姓婚の歴史を理解するには、「苗字」と「本貫」という二つの概念を正しく把握する必要があります。韓国の姓は、日本の苗字と似ているようでいて、その背景には血統や本家のルーツを示す役割が非常に強く含まれています。キム、イ、パクなどの代表的な姓に加えて、「どの地域を本拠とする家系か」を表す本貫が必ずセットで存在します。
かつての同姓婚禁止は、「同じ姓かどうか」だけでなく、「同じ姓かつ同じ本貫かどうか」によって判断されていました。たとえば、同じキムでも慶州金氏と全州金氏は別の家系として扱われます。このため、単に苗字だけが同じであっても、本貫が異なれば結婚が許容されるケースもあったのです。ここでは、韓国の姓の仕組みと本貫の意味を整理しながら、同姓同本貫制度の基礎を解説します。

苗字と本貫の関係とは

韓国における苗字は、漢字一字または二字で構成されることが多く、少数の姓に人口が集中しているのが特徴です。例えば、金、李、朴、崔、鄭などが非常に多く、国民の多数を占めています。しかし、同じ金氏であっても、その家系の起源となる地域や始祖の系譜が異なれば、全く別の家門として認識されます。
この家門の出自を示すのが本貫です。例えば、「慶州金氏」「全州李氏」のように、姓と本貫を組み合わせて一つの家系を表現します。戸籍や族譜といった系譜記録では、この姓と本貫の組み合わせが重要視され、婚姻や相続に関する判断の基準にもなってきました。同姓同本貫禁止は、この家門意識と密接に結びついていたのです。

この仕組みを理解すると、「同じ苗字だから親戚かもしれない」というレベルを超えて、「同じ姓かつ同じ本貫であれば同一の始祖にさかのぼる」という考え方が前提になっていたことが分かります。つまり、同姓同本貫の男女が結婚することは、伝統的な感覚では「同じ血筋の人どうしの婚姻」と見なされやすかったと言えるでしょう。

なぜ同姓同本貫婚が禁じられたのか

同姓同本貫婚が禁じられた背景には、儒教的な家族観と、血統の純粋性を重んじる宗族社会の構造があります。朝鮮王朝期には、家門ごとの宗庙祭祀や祖先崇拝が非常に重視され、同じ家門内での婚姻は、家族秩序の混乱や近親婚の問題をもたらすと考えられていました。そのため、同姓同本貫間の婚姻は禁止されるようになり、近代以降も民法に取り込まれていきました。
また、同姓同本貫婚禁止は、単に血のつながりを避ける目的だけでなく、家門同士の通婚を通じて社会的なネットワークを広げる役割も担っていました。異なる家門同士の婚姻は、家族や家門の地位向上や結束を強める手段とみなされてきたのです。こうした歴史的背景から、同姓同本貫婚は長らく「ありえない結婚」として扱われてきました。

結果として、この価値観は近代においても踏襲され、韓国の民法にも明文化されました。法制度と慣習が一体となって長期間維持されたため、制度廃止後も人々の心の中に「同じ苗字同士は結婚してはいけない」という感覚が残りやすかったと考えられます。

代表的な韓国の苗字と本貫の例

韓国の人口に多い代表的な苗字と、その主な本貫を簡単に整理すると、同姓でも本貫が多様であることが分かります。以下はイメージをつかむための一例です。

代表的な本貫の例 特徴
慶州金氏、金海金氏、安東金氏 など 韓国で最も多い姓。複数の大きな家門が存在
全州李氏、慶州李氏 など 朝鮮王朝の王家である全州李氏が有名
密陽朴氏、全州朴氏 など こちらも大規模な家門を持つ代表的な姓

このように、表面上は同じ苗字であっても、内部的には複数の家門に枝分かれしているため、同姓であっても本貫が異なれば血縁関係がないケースも少なくありません。それにもかかわらず、長らく「同姓同本貫」は一律に禁止されてきたことが、やがて過度な制約として問題視されるようになりました。

同じ苗字同士の結婚が禁止されていた歴史と法律の変遷

韓国で同姓同本貫婚が禁止されていたのは、単なる慣習ではなく、明確に法律で定められた制度でした。ここでは、朝鮮王朝期から現代に至るまで、同姓婚がどのように規定され、どのタイミングで緩和されていったのかを、時系列で整理します。
特に重要なのは、近代以降の民法制定と、その後の違憲判断、そして法改正の流れです。この過程を理解することで、「なぜ今は結婚できると言えるのか」「どのような社会的議論を経て制度が変わったのか」がより立体的に見えてきます。韓国社会の家族観の変化を読み解くうえでも、欠かせないポイントです。

朝鮮時代から続く同姓同本貫婚禁止の起源

同姓同本貫婚禁止の起源は、朝鮮王朝時代にさかのぼります。この時期、儒教が国家イデオロギーとして採用され、家族制度と宗族組織が社会秩序の基盤となりました。同じ家門内での婚姻は、血統の混乱や祖先祭祀の秩序を乱すものと見なされ、厳格に禁止される方向へと進みました。
王朝の法典や慣習法の中で、同姓同本貫婚は違法とされ、違反に対しては罰則が科されることもありました。これは単なる道徳規範ではなく、統治体制を支える法制度の一部として位置づけられていたと言えます。そのため、近代国家への移行後も、この価値観は容易には解体されませんでした。

また、宗族社会では、族譜と呼ばれる家系図の整備が進み、同じ姓と本貫を持つ者同士が一族として強い連帯意識を持つようになりました。この強固な家門意識が、「同姓同本貫婚は同族婚であり、避けるべきもの」という社会通念を強める結果につながりました。

近代民法における同姓同本貫婚禁止の規定

1948年の大韓民国成立後、韓国は近代的な民法体系を整備しましたが、この中にも同姓同本貫婚禁止の考え方が引き継がれました。具体的には、同じ姓かつ同じ本貫を持つ男女は婚姻できないと規定され、婚姻届が受理されない、あるいは無効となるケースが存在しました。
この規定は、伝統的な家族制度を維持するという目的のほか、近親婚を防ぐという名目も掲げられていました。しかし実際には、実際の血縁関係が希薄な場合でも、一律に禁止されることが少なくありませんでした。そのため、都市化や核家族化が進み、個人の結婚の自由を重視する価値観が広がるにつれ、この制度は「過度な制約」として批判の対象になっていきました。

特に、同姓同本貫であること以外に何の問題もないカップルが、婚姻を認められないケースが社会的な議論を呼び、人権の観点から見直しを求める声が高まりました。女性の権利向上や個人主義的価値観の浸透とともに、伝統的な家族法制に対する再検討が進んでいったのです。

違憲判断と法改正の流れ

同姓同本貫婚禁止に関する大きな転換点となったのが、韓国の憲法裁判所による違憲判断です。裁判所は、同姓同本貫であることのみを理由に婚姻を一律に禁止することは、結婚の自由と人格権を侵害する可能性が高いと判断し、関連規定の見直しを求めました。
この判断を受けて民法が改正され、同姓同本貫に基づく一律の婚姻禁止規定は削除されました。以後は、国際的な標準と同様に、一定範囲の血族・姻族間における近親婚のみが禁止される仕組みに移行しています。これにより、同姓同本貫に該当するカップルでも、実際に近親関係にあたらない限り、法的には結婚が可能になりました。

この法改正は、韓国社会における家族法の近代化を象徴する出来事であり、個人の結婚選択の自由を尊重する方向への重要な一歩となりました。同時に、それまで「当然の禁止」と考えられてきた慣習に対し、批判的に向き合う契機にもなりました。

制度撤廃後も残る社会的な影響

ただし、法律が改正されたからといって、すぐに社会全体の意識が変わるわけではありません。特に地方や高齢層を中心に、同姓同本貫婚に対する抵抗感は今も一定程度残っています。そのため、法的には問題がなくても、親や親族から強く反対されるケースや、周囲の目を気にして結婚を思いとどまるカップルも存在します。
また、家門意識が比較的強い家系では、族譜や宗中との関係から、同姓同本貫婚を避けるよう圧力がかかることもあります。このように、制度としては廃止されていても、実務レベル・生活レベルでの影響は根強く残っており、「同じ苗字同士の結婚は難しい」というイメージを補強しています。

このギャップを理解することは、韓国社会を外側から見るうえで非常に重要です。法律の条文だけを見ると「問題ない」と判断できる一方で、実際には家族関係や地域社会の動きを踏まえなければ、カップルが直面する現実を十分に把握することはできません。

現在の韓国で同じ苗字同士が結婚する際の法律上のポイント

現在の韓国では、同じ苗字同士の結婚が法律上認められていますが、いくつか確認しておくべき法的ポイントがあります。特に重要なのは、近親婚をどの範囲まで禁止しているのか、婚姻手続きでどのような点がチェックされるのか、といった具体的な運用面です。
ここでは、最新の家族関係登録制度に基づき、同じ苗字同士のカップルが結婚する場合に押さえておきたい法律上の基本事項を整理します。日本との比較も交えながら解説することで、日韓の制度の違いも理解しやすくなるはずです。

禁止されるのは「近親婚」であって「同姓婚」ではない

現在の韓国民法では、結婚が禁止されるのは、一定範囲内の血族および姻族に限定されています。たとえば、直系血族間、兄弟姉妹間など、近親にあたる関係では婚姻が許されませんが、これは多くの国に共通する規定です。一方、同じ苗字であること、同じ本貫を持つことそのものは、婚姻不可の理由にはなりません。
つまり、「キム同士だからダメ」「同じ李氏だからダメ」といった判断は、法律の世界からは原則として消えたとみなしてよいでしょう。ただし、同じ苗字かつ同じ本貫で、かつ実際に系譜上近い血縁関係にある場合には、当然ながら近親婚規制の対象となり得ます。その意味で、「同姓だから」というよりも、「血縁が近すぎないかどうか」が法的な焦点といえます。

この点を誤解すると、法律上は問題のないカップルまで「韓国ではアウト」と思い込んでしまうことになります。最新の制度では、同姓婚と近親婚は完全に切り離して理解する必要があります。

婚姻手続きと家族関係登録の実務

韓国で婚姻を成立させるには、家族関係登録官庁に婚姻届を提出し、受理される必要があります。提出された届出は、本人確認や必要書類の確認に加え、近親婚に該当しないかどうかがチェックされます。ただし、このチェックは主に血族関係に着目しており、同姓かどうか、自体は問題視されません。
実務上は、家族関係登録簿をもとに、直系血族や兄弟姉妹など禁止等親に該当しないかどうかを確認する形です。同じ苗字同士であっても、登録簿上近い血縁が確認されなければ、婚姻届は通常どおり受理されます。かつて存在したような、「同姓同本貫だから機械的に却下される」という運用は、すでに行われていません。

ただし、実務上の運用は時期や地域によって細かな違いがあり得るため、具体的な手続きの詳細については、現地の役所や専門家に確認することが望ましいです。ここで重要なのは、法制度として同姓婚が禁止されていない、という大枠を理解しておくことです。

国際結婚の場合の取り扱い

日本人と韓国人の国際結婚においても、基本的な考え方は同様です。韓国側では韓国法、日本側では日本法に従うことになりますが、いずれの国でも「同じ苗字だから禁止」という規定は存在しません。したがって、日本人がたまたま金さんという苗字で、韓国人の金氏と結婚するケースなどでも、法的に特別な制限が加わることはありません。
ただし、国際結婚では、どの国の方式で婚姻を成立させるか、婚姻の有効性がどのように相互承認されるかといった、別の法的論点が発生します。これらは同姓であるかどうかとは独立したテーマですので、同姓であることを理由に特別な不利が生じるわけではないと理解してよいでしょう。

なお、韓国人配偶者が結婚後も自分の姓を維持するのが原則であること、日本人側は日本の法律に基づいて姓を選択することなど、日韓で仕組みが異なる部分はあります。これらは夫婦同姓制度と夫婦別姓制度の違いに起因するものであり、同姓婚の是非とは別問題として整理しておくと混乱を避けられます。

文化的・社会的にはどう見られている?家族や世代間の意識差

法律の上では同じ苗字同士の結婚が認められている一方で、韓国社会の中では、今もなおさまざまな感情や価値観が交錯しています。同姓同本貫婚に抵抗を示す人もいれば、まったく気にしない若者世代もおり、その意識差は世代や地域、家門の性格によって大きく異なります。
ここでは、現代の韓国で同じ苗字同士の結婚がどのように受け止められているのか、家族の反応や世代間のギャップ、都市と地方の違いなど、文化的・社会的な側面から整理します。法制度だけでは見えてこないリアルな空気感を理解することが目的です。

年配世代に残る同姓婚への抵抗感

高齢世代を中心に、同姓同本貫婚に対する心理的な抵抗感は今も残っています。これには、若い頃に受けた教育や、宗族行事への参加経験、周囲の通念などが影響しています。長年、「同姓同本貫は結婚してはいけない」と教えられてきた世代にとって、法改正はあくまで「最近の変化」にすぎず、体感的にはなじみにくいことが多いからです。
そのため、法律上は問題がなくても、「家の恥になる」「先祖に顔向けできない」といった理由で反対する親や親戚も存在します。特に、族譜や宗中組織を重視する家門では、同姓同本貫婚を受け入れることが家門の伝統と相容れないと考える場合もあります。こうした価値観は、地方部や伝統産業に従事する家庭で比較的強く見られます。

このような背景から、同姓同本貫のカップルは、結婚を決断する際に法律以上のハードルを感じることがあります。親との関係をどう調整するか、親戚の理解をどこまで求めるか、といった現実的な課題に直面するのです。

若者世代の意識と都市部での変化

一方で、都市部を中心とした若者世代では、同じ苗字同士の結婚に対する抵抗は大きく薄れています。個人の幸福や恋愛感情を重視する価値観が広がっており、「苗字が同じだから」といった理由で結婚相手を変えるべきだという考えには共感しない人が増えています。
また、宗族組織との関わりが希薄になり、族譜や本貫について詳しく知らない若者も少なくありません。都市化と核家族化により、大家族的な家門文化から距離を置くライフスタイルが一般的になったことも、同姓婚に対する心理的なハードルを下げる方向に働いています。

それでも、親世代との価値観ギャップは残っており、結婚を巡る話し合いの中で、同姓同本貫であることが一時的な争点になるケースもあります。しかし、最終的には「子どもの幸せを優先しよう」と妥協する家族も増えつつあり、時間の経過とともに、社会全体として受容度が高まっていると見ることができます。

地方と都市、家門の性格による違い

同じ韓国国内でも、地方と都市、伝統的家門と一般的な家庭とでは、同姓婚に対する態度に差が見られます。地方では今も宗中の集まりや祭祀が盛んで、族譜がきちんと管理されている家系も多く、家門の一員としての自覚が強い傾向があります。そのため、同姓同本貫婚は「家門の掟」に反するものとして、受け入れにくいと感じられることがあります。
一方、大都市圏では、出身地や本貫が異なる人々が混在しており、家門単位での結びつきは相対的に弱まっています。ここでは、結婚相手を選ぶ際に重視されるのは、性格や価値観、経済状況などであり、本貫や同姓かどうかは副次的な要素にとどまることが一般的です。

また、名門家門や伝統を重んじる一族では、独自の家訓や婚姻方針を持っていることもあり、法改正後も内部規範として同姓同本貫婚を避ける方針を維持している場合があります。このように、同姓婚への態度は一様ではなく、さまざまな要因が組み合わさって形成されています。

具体的なケーススタディ:同じ苗字カップルが直面する現実

ここまで制度や意識の概要を見てきましたが、より理解を深めるには、具体的なケースを想定するのが有効です。同じ苗字同士のカップルがどのような局面で悩み、どんな選択肢を取りうるのかをイメージすることで、抽象的な議論が一気に具体性を帯びてきます。
ここでは、いくつかの典型的なパターンを想定し、それぞれのケースで考えられる問題点と解決の方向性を整理します。なお、これは一般的な傾向を示したものであり、実際の状況は家族構成や地域、価値観によって多様であることに留意してください。

ケース1:同姓同本貫だが血縁関係は遠いカップル

もっともよくあるのが、同じ苗字かつ同じ本貫であるものの、実際には血縁的なつながりが非常に遠いカップルです。例えば、都市部で生まれ育った二人が、たまたま祖父母世代の出身地が同じで、本貫も一致していたというケースが該当します。
このような場合、法律上は近親婚にあたらないことが多く、婚姻は問題なく成立します。しかし、家族の中には「同本貫である以上、遠い親戚かもしれない」として、感情的な抵抗を示す人もいます。特に年配の親族からは、「別の縁を探したほうがよいのではないか」といった意見が出ることもあり、家族会議が長引く要因になり得ます。

解決の方向性としては、族譜や家系図を可能な範囲で確認し、実際にどの程度の血縁距離があるのかを冷静に把握することが一案です。また、専門家の意見を踏まえつつ、法的には問題がないことを丁寧に説明し、最終的には当事者の意思を尊重するという形で合意を形成していくケースが多く見られます。

ケース2:同姓だが本貫が異なるカップル

次に多いのが、同じ苗字ではあるものの、本貫が異なるカップルです。金氏同士でも、慶州金氏と金海金氏のように家門が違えば、伝統的にも同姓婚禁止の対象とはされない場合がありました。現在の法律では、本貫の違いはさほど重視されず、近親でなければ問題なく結婚が認められます。
このケースでは、親世代も比較的受け入れやすいことが多く、「同じ苗字ではあるが、家門が違うので大丈夫」という説明が通りやすい傾向があります。ただし、本貫への関心が薄い若者世代では、自分の本貫をよく知らないこともあるため、結婚準備の過程で初めて意識するというパターンもあります。

本貫が異なる場合、伝統的な観点からも、同族婚にあたらないと解釈されることが多いため、心理的なハードルは相対的に低いと言えるでしょう。ただし、家門ごとの事情や親族の感情によっては、慎重なコミュニケーションが求められる場面もあります。

ケース3:家族が強く反対する場合の選択肢

もっとも難しいのは、同姓同本貫であることを理由に、家族が強く反対するケースです。特に親や祖父母が伝統的価値観を強く持っている場合、法改正の話をしても納得が得られにくく、「どうしても認められない」という状況に陥ることがあります。
このような場合、当事者としては、いくつかの選択肢を検討する必要があります。例えば、時間をかけて説得を続ける、第三者に仲介に入ってもらう、あるいは最終的に親の同意が得られないまま結婚に踏み切る、といった判断が考えられます。それぞれにメリットとリスクがあり、一概にどれが正解とは言えません。

重要なのは、「同姓同本貫だから絶対に結婚できない」と思い込むのではなく、法制度と家族感情を切り分けて整理することです。法律上は可能であることを理解したうえで、家族との関係性や自身の価値観を踏まえて、納得できる選択を模索する姿勢が求められます。

日本との違いと共通点:姓と結婚に対する考え方の比較

韓国の同姓婚を理解する際、日本の制度や感覚との比較は非常に役立ちます。両国は地理的に近く、儒教文化圏という共通点もありますが、姓の運用や結婚後の夫婦の姓に関する制度は大きく異なります。
ここでは、日韓の婚姻制度における姓の扱いを整理しながら、同じ苗字同士の結婚に対する考え方の違いと共通点を明らかにします。これにより、「韓国だけが特殊なのか」「日本の制度はどう見えるのか」といった疑問にも応えられるでしょう。

夫婦同姓の日本と、夫婦別姓が基本の韓国

日本では、民法により、結婚すると夫婦は必ず同じ姓を名乗ることとされています。多くの場合は夫の姓を選択しますが、妻の姓を選ぶことも法律上は可能です。このため、結婚を機に姓が変わることが、特に女性にとって大きなライフイベントとなっています。
一方、韓国では、結婚後も夫婦それぞれが生まれたときの姓を生涯名乗るのが基本であり、夫婦同姓になることはありません。子どもは通常父親の姓を継ぎますが、夫婦の姓自体は変わりません。この根本的な仕組みの違いが、同姓婚に対する感覚の差を生んでいると言えます。

日本では、結婚前に同じ苗字だった二人が結婚すると、結果として婚姻前後で姓が変わらないため、珍しいが特に禁じられていないケースとして扱われます。一方、韓国ではもともと夫婦別姓であるため、「もともと同じ姓であること」が血統や家門と直結しやすく、そこに伝統的な価値観が強く作用してきたのです。

同姓同本貫と日本の近親婚規制の比較

日本の民法でも、近親者同士の婚姻は禁止されていますが、その基準は主に血族・姻族の等級に基づいています。直系血族間や兄弟姉妹間など、血縁が近すぎる関係では婚姻が認められませんが、苗字が同じかどうかは判断要素ではありません。
最新の韓国法制も、この点では日本と同様に、血族関係をもとに近親婚のみを禁止しています。ただし、韓国には歴史的に同姓同本貫婚禁止という上乗せ規制が存在していたという違いがあります。現在は、この上乗せ規制が撤廃された結果、日本と同じように「血縁の近さ」が唯一の基準となったと理解できます。

この意味で、現在の日韓の制度は、近親婚の禁止という点では収れんしている一方、夫婦の姓の扱いでは大きく異なっています。同じ儒教文化圏であっても、近代国家としてどのような家族法制を選択してきたかによって、制度の姿はかなり違っていると言えるでしょう。

国際カップルが注意したいポイント

日本人と韓国人のカップルにとっては、両国の制度差が実務上の検討事項となります。例えば、日本側ではどちらの姓を名乗るかを選択する必要があるのに対して、韓国側ではそれぞれが自分の姓を維持するため、子どもの姓や家族の呼び方などで違和感が生じることがあります。
また、日本の親族や周囲が、韓国の同姓婚に関する歴史的背景をよく知らない場合、「韓国では同じ苗字同士は結婚できないらしい」といった誤解が残っていることもあります。こうした誤解を解くためには、本記事で解説してきたような歴史と最新の法制度を、分かりやすく共有することが有効です。

両国の制度と文化の違いを理解し、相互に尊重しながら調整していくことが、国際カップルにとって重要なプロセスとなります。

まとめ

韓国では同じ苗字同士が結婚できるのかという問いに対して、現在の結論は「法律上は結婚できるが、文化的な名残として慎重に扱われることもある」と整理できます。かつて韓国には、同姓同本貫婚姻禁止という独自の制度が存在し、同じ苗字かつ同じ本貫の男女は、たとえ血縁が遠くても原則として結婚できませんでした。
しかし、個人の結婚の自由や人権意識の高まりを背景に、この制度は違憲判断と法改正を経て撤廃され、現在は近親婚のみが禁止される仕組みに改められています。同じ苗字であること自体は、もはや法的な障害ではありません。

一方で、長年続いた慣習と家門文化の影響は根強く残っており、特に年配世代や地方部、伝統的家門では、同姓同本貫婚に対する心理的な抵抗が今も存在します。そのため、同じ苗字同士のカップルは、法制度とは別に、家族との対話や価値観の調整といった現実的な課題に直面することがあります。
日本との比較を通じて見えてくるのは、日韓両国がいずれも近親婚を禁止しつつも、姓の扱いや家族観の歴史的な歩みが違ってきたという事実です。韓国の同姓婚問題は、その違いを象徴的に示すテーマと言えるでしょう。本記事の内容を踏まえ、韓国ドラマやニュースで同じ苗字同士の結婚が話題になる際には、その背景にある歴史と文化にも思いを巡らせてみてください。

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