韓国ドラマやK-POPアイドルのニュースを見ていると、結婚後も女性の苗字が変わらないことに気づく人が多いです。
日本では結婚といえば夫婦同姓が一般的なため、「韓国はなぜ結婚しても苗字が変わらないのか」「法律なのか、文化なのか」と疑問を持つ方が増えています。
本記事では、韓国の夫婦別姓制度の仕組み、歴史的背景、日本との違い、実生活でのメリット・デメリット、国際結婚の場合まで、最新の情報を整理して分かりやすく解説します。
目次
韓国 結婚 苗字 変わらないのはなぜ?基本ルールと考え方
韓国では、結婚しても苗字が変わらないことが原則となっています。
これは単なる慣習ではなく、民法に基づいた「夫婦別姓」が法律上の大原則として定められているためです。
日本のように婚姻届を出す時点で夫か妻どちらかの姓を選ぶ制度ではなく、それぞれが生まれ持った姓を生涯名乗り続ける仕組みになっています。
一方で、社会の近代化とともに家族に対する価値観も変化しており、姓の使い方や家族の呼び方も多様化しています。
ここではまず、韓国の法律で定められている基本ルールと、そこに込められた考え方を押さえたうえで、なぜ「結婚しても苗字が変わらない」のかを整理して解説していきます。
韓国民法における夫婦別姓の原則
韓国の民法では、婚姻しても配偶者の姓に変更するという制度自体が存在せず、原則として夫婦はそれぞれの姓を維持します。
婚姻届を提出しても、戸籍や住民登録に登録される氏名は婚姻前と同じで、姓だけでなく下の名前も自由に変えることはできません。
結果として、法律上も社会通念上も「結婚したから姓を揃える」という発想はほとんどありません。
この仕組みは、男女平等の観点から導入されたというよりも、韓国社会に根付いてきた「父系血統」を重視する伝統と結びついています。
姓は血統を表す非常に重要な要素であり、婚姻という契約関係が生じても血統そのものが混ざることはない、という考え方が制度に反映されています。
日本の夫婦同姓との違いとよくある誤解
日本では、民法上「夫婦は必ず同じ姓を名乗る」と定められていますが、その一方の選択肢として夫姓か妻姓かを選ぶことができる建前があります。
しかし現実には多くが夫姓を選ぶため、夫婦同姓が「当たり前」と受け止められがちです。
これに対し韓国では、そもそもどちらかの姓を選ぶという概念が存在しないため、婚姻による姓変更の手続きもありません。
よくある誤解として、「韓国は進んだ男女平等の国だから夫婦別姓なのだ」という説明を見かけることがあります。
しかし歴史的には、むしろ儒教的な父系重視の文化が強く、姓はそれぞれの血筋を示すため、混ぜたり変えたりしないという意味合いが強いです。
結果として表面的には男女とも自分の姓を名乗り続けるため、「平等」とも見えますが、背景にある思想は日本とはかなり異なります。
婚姻届を出した後の氏名表記の実務
韓国で婚姻届が受理されると、「家族関係登録簿」と呼ばれる公的な登録に夫婦関係が記載されますが、夫婦それぞれの姓名表記は婚姻前と同一のままです。
運転免許証、パスポート、銀行口座、勤務先の人事記録など、あらゆる場面で使用する名前も変わりません。
そのため、日常生活において「結婚したことが氏名からは分からない」という状況が一般的です。
もっとも、実務上は配偶者を紹介する際に「○○さんの奥さん」「○○さんの夫」といった呼び方がされることはあり、家族単位の呼称は文化として生きています。
ただし、書類上の正式名称や署名ではあくまで自分自身の姓を使用するため、国際的なビジネスや留学などの場面でも、一貫した氏名を維持できるという利便性もあります。
韓国で結婚しても苗字が変わらない歴史的・文化的背景

韓国の夫婦別姓制度は、近年になって突然導入されたわけではなく、長い歴史を持つ家族観と血統意識の上に成り立っています。
特に、宋代以降に朝鮮半島で強く受容された儒教文化の影響を受け、姓は単なる呼び名ではなく、宗族や本貫を表す重要な記号として位置づけられてきました。
そのため、結婚したとしてもそれぞれの姓を維持し、女性も実家の姓のままでいることが「自然なこと」として受け止められてきました。
ここでは、韓国の伝統的な家族制度と儒教思想、そして日本の戸籍制度との違いを踏まえながら、「なぜ苗字が変わらないのか」という背景を掘り下げて解説します。
儒教文化と父系血統を重んじる価値観
韓国社会では、長く儒教が支配的な倫理体系として機能してきました。
儒教では、宗族と呼ばれる父系血統の集団を維持し、祖先を祀ることが重要な徳目とされます。
このとき、姓は宗族を示すシンボルであり、同じ姓を持つ人々は同じ祖先から続く親族集団という意識が根強くあります。
こうした価値観のもとでは、結婚は二つの宗族が姻戚関係を結ぶ行為であり、女性が別の宗族に「完全に移る」わけではないと考えられてきました。
そのため、女性は婚家に入っても実家の姓を名乗り続け、宗族祭祀などでは出身家の一員として位置づけられます。
この考え方が、現代の夫婦別姓制度の基盤となっています。
韓国の「本貫」と姓の関係
韓国では、同じ姓でも出身の本貫によって宗族が区別されます。
例えば、金氏でも慶州金氏、金海金氏など、本貫が異なれば系譜上は別の宗族と理解されます。
姓と本貫の組み合わせが、その人のルーツと血統を示す非常に重要な情報となっているのです。
このような背景から、姓は単に夫婦の間で揃えればよいというレベルのものではなく、祖先の系譜と直結したものと見なされます。
結婚して姓を変えるという発想自体が、伝統的な価値観と整合しないため、法制度もそれを前提に組み立てられています。
日本のように戸籍単位で家を作る制度とは根本的な思想が異なっている点が特徴です。
日本統治期・近代化の中での変化と継続
20世紀前半の日本統治期には、日本式の戸籍制度や創氏改名政策などにより、朝鮮半島の姓名文化に大きな影響がありました。
しかし、戦後に大韓民国として独立した後は、伝統的な家族観を尊重する形で法制度が再構築され、夫婦別姓が維持されてきました。
近代的な民法の整備の過程でも、姓の統一よりも血統の継続が優先されてきたといえます。
その後、女性の社会進出や人権意識の高まりにより、家父長的な制度の改革は進められてきましたが、姓については男女ともに生まれた時からのものを維持するという点で平等であると解釈されました。
結果として、韓国は法的には完全な夫婦別姓を貫く数少ない国の一つとなっています。
韓国人同士が結婚した場合の苗字と子どもの姓の決まり
韓国人同士が結婚する場合、夫婦の姓が変わらないことは分かっても、「子どもの姓はどうなるのか」「家族としての一体感はどう作るのか」といった点が気になる方は多いです。
特に、日本の感覚から見ると、母親と子どもの苗字が違うことに違和感を覚える方もいるかもしれません。
しかし、韓国社会では「親子で姓が違う」状況はごく普通であり、制度も生活慣習もそれを前提に設計されています。
ここでは、韓国人同士の婚姻での子どもの姓のルールや、実生活での呼び方・家族の感覚などについて説明します。
子どもの姓はどちらの親の苗字になる?
韓国の原則では、子どもの姓は父親の姓を継ぐとされています。
これは長く続いてきた父系血統を重視する慣習を反映したもので、法律上も父親の姓と本貫を子が受け継ぐことが基本とされます。
そのため、多くの家庭で、父と子どもが同じ姓、母だけが異なる姓という構図になります。
もっとも、近年は男女平等や家族の多様化をめぐる議論の中で、母親の姓を継ぐことを認めるべきだという意見も徐々に増えています。
一部では特別な手続きを経て母親の姓を名乗るケースも見られますが、一般的には依然として父姓継承が多数派であり、社会的にも違和感なく受け入れられている状況です。
親子で苗字が違うことへの社会的な感覚
日本では、母と子どもの苗字が違う場合、離婚や再婚など特別な事情が推測されることが多いですが、韓国ではまったく事情が異なります。
最初から母親と子どもの姓が違うのが標準形であり、それによって家族関係が疑われることはほとんどありません。
学校や病院などの公的な場面でも、母子の姓が違うことは想定済みです。
保護者名や家族関係は公的書類で確認されるため、「姓が違う=家族でない」という発想にはなりません。
また日常会話では、「○○くんのお母さん」「○○ちゃんのアッパ(お父さん)」といった呼び方が普通に用いられるため、姓の違いが関係性の認識を妨げることもありません。
家族としての一体感と呼び名の工夫
夫婦も親子もそれぞれ違う姓を持つ韓国では、家族としての一体感をどのように表現しているのでしょうか。
実際には、苗字以外の部分、すなわち「名前」「呼び方」「家族イベント」が重要な役割を果たしています。
家庭内ではお互いを名前や親としての呼称で呼び合い、苗字を意識する機会はそれほど多くありません。
また、年中行事や誕生日、子どもの進学や就職といったライフイベントを通じて「家族」としての意識が強く共有されるため、姓が一致しているかどうかは本質的な問題と見なされにくいです。
この意味で、韓国社会では「家族の一体感」と「姓の一致」は必ずしも結びついていないといえます。
日本人と韓国人が結婚する場合の苗字の扱い
日本人と韓国人が国際結婚するケースでは、両国の法律や制度が関わってくるため、苗字の扱いが一層複雑になります。
日本側では婚姻により夫婦のいずれかの姓に統一する必要がありますが、韓国側ではそれぞれの姓を維持するのが原則です。
この二つの制度の間で、実務的にどのように折り合いをつけるのかを理解しておくことが大切です。
ここでは、日本で婚姻届を出す場合と韓国で婚姻を登録する場合、それぞれでの氏名の扱い、子どもの姓の決め方、日本の戸籍・韓国の家族関係登録への影響などを整理して解説します。
日本側での戸籍と姓の選択
日本で日韓カップルが婚姻届を出す場合、日本の民法に従い、夫または妻のいずれか一方の姓を夫婦の氏として選択しなければなりません。
例えば、日本人夫と韓国人妻の組み合わせであれば、「夫の日本姓」か「妻の韓国姓」のいずれかを選び、その姓で日本の戸籍に記載されます。
韓国人配偶者が日本に在留する場合も、日本国内での公的書類では選択した氏を用いることが一般的です。
もっとも、パスポートや韓国側の家族関係登録では韓国人配偶者の本来の姓名が維持されることが多く、場面によって氏名表記が異なるケースが生じます。
そのため、実務上は通称名やローマ字表記との整合をどう取るかについて、専門家に相談しながら進める夫婦も少なくありません。
韓国側での家族関係登録と氏名
同じ日韓カップルでも、韓国側で婚姻を登録する際には、夫婦それぞれが自分の姓を維持する形で記録されます。
韓国人配偶者の家族関係登録簿に、日本人配偶者が「配偶者」として記載されますが、日本人側の姓はそのまま表記され、いずれか一方に揃えるということはありません。
結果として、一組の夫婦について、日本の戸籍上では同姓、韓国の家族関係登録上では別姓という二重構造になることがあります。
これは制度の違いによるものであり、いずれかが誤りというわけではありません。
ビザ申請や永住申請などの場面では、これらの異なる記録を紐づけて説明する必要があるため、書類の準備には十分な注意が求められます。
子どもの国籍取得と姓の決め方
日韓カップルの子どもは、条件を満たせば日本と韓国の双方の国籍を取得できる可能性があります。
その場合、日本の戸籍上の氏名と、韓国の家族関係登録上の氏名をどのように整合させるかが大きなポイントとなります。
日本側では、親のいずれかの姓を子が名乗る形になりますが、韓国側では原則として父親の姓を継ぐ扱いが基本です。
父が日本人で母が韓国人の場合と、その逆の場合とでも取り扱いが変わるため、事前に大使館や専門家に相談することが重要です。
また、パスポートの表記や学校での通称など、実際の生活でどう名乗るかも含めて、夫婦でよく話し合っておく必要があります。
韓国の夫婦別姓制度が生活に与える影響とメリット・デメリット
結婚しても苗字が変わらない韓国の制度は、日常生活において具体的にどのような影響を与えているのでしょうか。
姓が変わらないことによる利便性もあれば、家族単位の手続きや社会的なイメージの面で工夫が必要な場面もあります。
ここでは、生活面・キャリア面・心理面を含めて、メリットとデメリットの両面から整理してみます。
また、日本と比較しながら見ることで、夫婦同姓と別姓それぞれの特徴や課題がより明確になります。
韓国の制度を理解することは、日本での夫婦別姓をめぐる議論を考えるヒントにもつながります。
キャリア・社会生活から見たメリット
苗字が変わらない最大のメリットは、キャリアや社会生活において一貫した氏名を維持できることです。
結婚後も、学歴、研究業績、資格登録、名刺、SNSアカウントなど、あらゆる場面で同じ名前を使い続けられるため、本人確認や評価の連続性が保たれます。
特に女性の社会進出が進む中で、この点は大きな利点と受け止められています。
また、銀行口座や各種会員情報の名義変更といった煩雑な手続きも原則不要です。
名前が変わらないため、過去の記録と現在の自分との結びつきを第三者に説明する手間が少なく、国際的なビジネスの場でもシンプルです。
こうした実務的なメリットは、夫婦別姓制度が広く受け入れられている背景の一つといえるでしょう。
家族単位で見たときのデメリットや戸惑い
一方で、夫婦も親子も姓がバラバラであることから、家族単位の一体感や外部からの認識の面で戸惑う瞬間もあります。
例えば、子どもの学校の行事や共同生活の場で、「苗字が違うとすぐには親子だと分からない」といった声が出ることもあります。
しかし、韓国ではそれを前提とした運用が浸透しているため、社会全体としては大きな問題とは見なされていません。
海外に行った際には、別姓の夫婦や親子を想定していない書類形式に遭遇し、説明が必要になるケースもあります。
また、国際結婚で双方の制度が交錯する場合には、姓名の扱いがさらに複雑になり、二重表記や通称の使い分けが必要になることもあります。
これらは、グローバル化が進む中で徐々に改善されつつある課題と言えるでしょう。
日本との比較で見える制度の違い
日本と韓国の制度を整理するために、夫婦の姓に関する主要な違いを表にまとめます。
| 項目 | 日本 | 韓国 |
|---|---|---|
| 婚姻による姓 | 夫婦同姓が原則(夫または妻の姓を選択) | 夫婦別姓が原則(各自が婚姻前の姓を維持) |
| 子どもの姓 | 原則として戸籍筆頭者と同じ姓 | 原則として父の姓を継承 |
| 姓変更の手続き | 婚姻時に姓の選択が必要 | 婚姻時の姓変更制度は基本的に存在しない |
| 社会的な前提 | 親子は同姓が一般的 | 母と子は別姓が一般的 |
このように、両国の制度は前提としている家族像が大きく異なります。
日本では「家」を単位とした戸籍制度があるのに対し、韓国では個人ごとの家族関係登録をベースにしつつ、姓は血統を示すものとして扱われます。
どちらが優れているというより、歴史と文化の違いが制度に反映された結果と理解するのが適切です。
韓国で苗字を変えることはできる?例外や改名手続き
原則として結婚で苗字が変わらない韓国ですが、「まったく変えられないのか」といえば、そうではありません。
結婚とは無関係に、個人的な事情から姓や名を変更したいと考える人もおり、裁判所を通じた改名制度が用意されています。
ただし、日本と同様に、単なる気分や軽い理由では認められないのが一般的です。
ここでは、韓国で姓や名前を変更できるケースと、実際の手続きの概要、結婚を理由とする姓変更がなぜ基本的に認められていないのかについて解説します。
法律上認められる姓の変更のケース
韓国では、家庭法院に申し立てを行い、正当な理由があると判断された場合に限り、姓や名前の変更が認められる制度があります。
その理由としては、いじめや差別の原因となっている珍しい名前、発音や表記が社会生活に著しい支障をきたす場合、養子縁組に伴う姓の変更などが挙げられます。
一方で、「結婚したから配偶者と同じ姓にしたい」という理由は、制度の根本に関わるため原則認められていません。
姓は血統と本貫を示すものであり、婚姻関係によって変更する類のものではない、という伝統的な考え方が今も維持されているためです。
そのため、婚姻による姓変更を希望する人は、ごく例外的な事情がない限り認められにくいのが現状です。
家庭法院を通じた改名・改姓の流れ
改名や改姓を希望する場合には、まず家庭法院に対して申立書を提出し、変更を希望する理由や必要な資料を添付します。
その後、裁判所が事情を審査し、場合によっては補足説明や追加資料の提出を求めることがあります。
審査の結果、社会生活上の不利益が大きい、あるいは人権の観点から合理的と判断されれば、変更が許可されます。
このように、韓国の改名制度はあくまで例外的な救済措置として位置づけられており、誰でも自由に姓を選べるというわけではありません。
結婚に伴う姓変更がほとんど認められていないのも、姓に対する社会的・文化的な重みが非常に大きいからだと理解できます。
結婚を理由にした姓変更が難しい理由
結婚を理由にした姓変更が認められにくいのは、韓国の制度が「婚姻関係」と「血統の継承」を厳密に区別しているためです。
婚姻は二人の成人が法律上の契約を結ぶ行為であり、姓は祖先から連なる血統を示すものという考え方が根底にあります。
そのため、婚姻によって姓が変わるべきだという前提そのものが、法律や社会通念と相容れないのです。
また、結婚を理由に姓変更を広く認めてしまうと、父系血統を基礎とした本貫制度との整合性が崩れる可能性があるという懸念もあります。
こうした理由から、韓国では夫婦別姓が維持され続けており、姓の変更はあくまで例外的・個別的なケースに限定して運用されています。
韓国の夫婦別姓を理解するためのポイントと注意点
ここまで見てきたように、韓国で結婚しても苗字が変わらないのは、単なる流行や政策ではなく、歴史的・文化的背景と法制度が一体となった結果です。
日本から見ると驚きに感じられる点も、韓国社会ではきわめて自然な前提として受け入れられています。
韓国人との結婚やビジネス上の関わりを考えるうえでも、この違いを正しく理解しておくことは重要です。
最後に、韓国の夫婦別姓制度を理解する際のポイントと、国際的な場面で注意すべき点を整理しておきます。
制度の違いを知ることで、韓国文化への理解が深まり、日本の家族観を相対化して考えるきっかけにもなるでしょう。
韓国人の感覚から見た「姓」と「家族」
韓国人の多くにとって、「姓」は血統や宗族を示すラベルであり、必ずしも家族の単位そのものを意味しません。
結婚して姓が変わらないことや、母と子の姓が違うことも、ごく自然なこととして受け止められています。
家族の一体感は、姓の一致ではなく、日々の生活や感情のつながり、互いの責任や役割を通じて形成されるものと考えられています。
この感覚を理解しておかないと、日本の価値観を基準に「姓がバラバラで家族意識が薄いのでは」といった誤解を抱きかねません。
むしろ韓国では、祖先祭祀や家族行事を通じて家族のつながりを重視する文化が強く、姓の一致・不一致はその本質とは別の次元の問題だといえます。
国際結婚やビジネスでの実務上の注意点
日韓の制度が交差する場面では、氏名表記の違いが実務上のポイントとなります。
国際結婚では、日本の戸籍と韓国の家族関係登録で姓の扱いが異なるため、書類準備や翻訳の際に整合性に注意が必要です。
また、ビザ申請や銀行口座開設、学校への入学手続きなどで、別姓の夫婦や親子であることをきちんと説明できる書類を用意しておくことが重要です。
ビジネスの場面でも、韓国の担当者が既婚女性であっても婚前の姓を名乗っているのが普通です。
名刺やメールの名前から婚姻状況を推測することは控え、あくまで一個人として尊重する姿勢が求められます。
こうした配慮が、文化の違いを越えた信頼関係づくりにつながります。
韓国ドラマ・Kカルチャーに見える姓の使われ方
韓国ドラマや映画、バラエティ番組では、登場人物の名前の使われ方からも韓国の姓文化が垣間見えます。
既婚女性のキャラクターが旧姓のまま登場したり、親子で姓が違う設定がごく当たり前に描かれていたりします。
また、親しい間柄では名前やニックネームで呼び合うことが多く、姓を強調する場面はそれほど多くありません。
K-POPアイドルや俳優についても、デビュー前後で姓が変わることはほとんどなく、結婚後も芸名や本名の姓がそのまま使われ続けます。
これらの表現を意識して見ることで、韓国社会における「姓」と「個人」「家族」の距離感がよりリアルに感じられるはずです。
まとめ
韓国で結婚しても苗字が変わらないのは、夫婦別姓が法的な原則として定められており、姓が血統と本貫を示す重要な要素と考えられているからです。
夫婦はそれぞれ婚前の姓を名乗り続け、子どもは原則として父の姓を継ぎますが、母と子の姓が違うことは日常的であり、そこに違和感はほとんどありません。
この制度は、儒教文化や父系血統を重視する歴史的背景と、現代の法制度が組み合わさって形づくられています。
キャリア面では氏名の一貫性というメリットがある一方、国際結婚や海外での手続きでは制度の違いから説明や工夫が求められる場面もあります。
日本の夫婦同姓制度と比較することで、家族のあり方や個人の名前の意味を改めて考えるきっかけにもなるでしょう。
韓国人との結婚や交流を考えている方は、単に「韓国は夫婦別姓」と表面的に理解するだけでなく、その背後にある歴史や文化、生活上の実務まで押さえておくことで、よりスムーズなコミュニケーションと相互理解が得られます。
違いを知り、尊重する姿勢こそが、グローバルな時代の人間関係づくりの土台になると言えます。